儀間派松涛館流空手道の指導について
松濤館流空手道を継承している儀間派松涛館は、技術的指導面に於いては、空手界の中では頭脳的、オーソドックスな正統派的な技術指導を行っている団体である。
心、技、体としての指導理念から、精神面での鍛錬を第一主義として、強い精神力と忍耐力、信念にもとづいた幅広い人間性の陶治を学び、礼節と謙譲を信条としている。
技術面においては、空手の強さと華麗さ、スピード、テクニック、威力に求め、形のバランスによる凶器たらんとする強い技術の養成を第一義とし、外柔内剛型の技を身につけ、空手道が地上最高の武道であることの認識をもたらし、一騎当千の士を養成すべく、日夜修練に励むように組まれている。
体に於いては、空手の技術を覚えながら健康な体作り、個人の素養に合った技術の修練と、強靭な体、その結果が社会生活を営む上に役立つよう合理的な体力作りを主眼としている。
このような、心、技、体を学び取ることによって、誠(真謹)の旗印のもとに、我が空手道が、日本、否世界を引っ張る基本的環境作りとして、道場の場が設けられているのである。
従って、一度空手の道を志したならば、苦しみながらも飽きることなく耐え忍び、生きることの厳しさ、生きることの楽しさ、即ち空手の修練を通じて喜怒哀楽の人間らしさを、汗と涙の結晶から、会得することが肝要である。儀間派松涛館道場に入門した諸氏諸君は、ます道場とは、人間の修養場であることの認識をもち、人間として、一番の財産は、健康であることを再認識して、自分に負けないで欲しい。
空手は、その手段であり手引書である。空手を通じて強靭な体力と不屈の闘志を学ぶことは、厳しい修練から学び取る以外には、これ以上の方法はないというような自負心で、指導者の思想に共鳴し、自分自身に対し、常にハングリーであれといいたい。
儀間派松涛館流空手道協会は、(社)沖縄空手道協会と、(社)日本空手協会の伝統の上に成り立っている故、修練は厳しく武士道精神に立脚した指導体系と、健康、体育、競技を包含した空手道の指導方針にあるということは、前にも述べているが、一番大きな特徴は、実際に役立つ、即ち、護身術として役立つ空手であることである。それ故に、基本技を重視し、一挙一蹴、必殺の基本姿勢にもとづいた空手道を主眼としている。又松濤館流空手道の特長は、基本技、移動基本、型、組手、という四つの技を合理的に組立ながら構成されている。従って、どの技も重要な要素をもっている。ダイナミックな空手は、見た目に美しさを与えるばかりでなく、修行者がいつでも長く稽古を続けることができる。
儀間派松涛館流は、厳選した指導者によって、老若男女を問わず、親切ていねいな指導を目指している。二十二世紀に向かって、新しい空手道、新しい指導法を常に考えながら日夜研究に励み、選手の育成に、武道として、人間力の修練に、又健康増進法にと、一人でも多くの会員が空手道の恩恵をこうむるよう頑張っている。入門者が儀間派松涛館流本部、支部道場に一人でも多く入門されることを期待してやまない。
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